2008/04/21

作品 妖精の微笑b



作品の向こう側にあるものをイメージしながら、

そのこちら側を描く。

そういう制作の仕方を無意識のうちにしていることがある。

遊んでいるのだろうか。

不思議な浮遊感があり、自分のどの部分が遊んでいたのか、

まるで突然夢から醒めたように集中状態から解放されるのです。

作品 心の調べ







この作品を観るたびにコートダジュールの光を思い出す。

必ず心に甦る光景、アンティーヴのピカソ美術館。


絵を描くときに、私は「あれを描こう、これを描こう。」という思いを抱けない。

何か、言葉に出来ない、説明がつかない、自分の気づいていない、

自分の中に眠っているもの、まるでそれの掘り起こし作業のように

作品を作っているような気さえする。


バルセロナ、パリ、、、数あるピカソ美術館の中で私が最も好きなアンティーヴ。

その思いがこの作品を生み出したのかもしれない。

真っ白な特注の漆喰の額におさめられ、

夢に向かって進む持ち主のもとで、実力を超えた光を放っています

作品 香(か)


「いかにもしっとりとした匂うような作品です。」


などと、自分で感想を述べることが出来るのは、

「私が作ったものである」という意識がなくなり

作品を客観的に観ることが出来るようになっているからです。


紙と墨、空気、水、はたまた心の潤いなのか、

何が作り出しているのか、向こう側からしっとりと、

何やら不思議な色香が感じられる。

この紙は古い紙だったか、

それも空気に触れながら晒されて

このような錬れた感じになったのか

きっと、そうやって放っておいたものを

一気に仕上げて作ったものに違いない。


ああ、もう一度この紙に出会いたい。



作品 nontitled


良い人間でありたいと思ってきた。

良い人間てなんなのだろう。

制作以外のことが上手に出来なくなってきている自分。

それ以外のことは本当はやりたくないのかもしれない自分。

自分でしか居られない自分にようやくなってきたのかもしれない。


さて、この作品はめずらしくドーサの効いた厚口の麻紙に描いたものです。

「滲みの出ない紙なんて」と、がっかりしたのに、

突然集中して一気に書いたのを覚えています。

落款の場所に苦労しました。

しかしその「落款」が、この作品を自由にしたらしい。

私にはこの作品はまるで機械仕掛けのように動いて見えるのですが、

皆さんにはどのように見えるのでしょうか。