1998年9月銀座松屋の大きな美術画廊で
個展をさせていただいた。
突然の思いがけないお話で、
それまでは、日本では書のみの個展、
海外では抽象の絵のみ、というように
自分の中で二本の道が交わらずにいた。
ところが、松屋さんの美術画廊は大変広く
時間的に点数が揃えられそうもなかった。
迷った挙句サンフランシスコのギャラリーから
作品を返してもらい、ようやく間に合わせたのだった。
自分の心はずうっと後にそれを味わうことになるのだが、
私の書と絵と二本の道が交わった瞬間だった。
この個展の搬入の時でした。
まだ数点しか飾られていないその中から
「これを下さい」とお買い上げ頂いた"作品"を忘れられなくて、
それから一年以上経ったころ、
その"作品"の6倍ほどの大きさで書いたのがこの作品#17です。
昨年埼玉県川口市が企画して好評だった
「二人のクローデル展」に招かれた私は、
会場となった旧田中家住宅のお茶室の床の間に
その"作品"が収まっているのを見ることが出来たのです。
大好きな黒田泰蔵さんの花入れと共に。
9年ぶりの再会でした。